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研究内容

滝澤グループ:

 地球は「微生物の惑星」と呼ばれるほど、様々な微生物が棲息しています。中には厄介なもののいますが、一方で役にたってっくれるものもたくさんいます。自然や環境にやさしく人の暮らしを豊かにしてくれる、そんな微生物を探し出して利用する方法について考えています

(研究1) 発酵食品を作る酵母や乳酸菌の探索分離とその利用(食品微生物工学)

(研究2)組換え酵母をによるBDF製造時の廃液を利用しての有益な物質を生産する技術の開発(環境微生物工学)


古賀グループ:

 地球上には様々な環境(高温、高圧、高塩濃度など)があり、それらの環境に固有の微生物が生育しています。これらの微生物が生産する酵素(タンパク質)は、極限環境に適応した特殊な生体触媒です。我々の研究グループでは、極限環境微生物由来の酵素の分子構造と機能を研究し、実用的な技術として応用することを目指しています。

 右の写真は、鹿児島県小宝島の熱水硫気孔から単離された80℃以上の高温でも生育できる超好熱古細菌(始原菌)です。系統学的に真核生物(動物や植物、カビなど)、原核生物(バクテリア)とも異なる第3の生物群として、研究者の間で注目されている古細菌(始原菌、Archaea)の仲間です。この微生物が作っている耐熱性蛋白質は、産業応用ができるだけでなく、生命の進化の痕跡をたどる研究にも役に立っています。

KOD1.tif

Thermococcus kodakarensis KOD1株

 超好熱古細菌(始原菌)のRNaseHホモログ、glycerol代謝関連酵素、プロテア ーゼ群の遺伝子を取得し、X線結晶構造解析、物理化学的特性解析を行い、構造機能相関研究を行ってきた。古細菌由来酵素がもつ原始的な機能調製の分子メカニズムを明らかにするとともに、タンパク質の耐熱性の向上、基質特異性の改変された変異タンパク質のデザインも行った。今後も極限環境微生物由来タンパク質の新たな分子構造、機能の解析を行っています。

 これまでに世界最高レベルの熱安定性を持ち、異常プリオンタンパク質を分解できる超好熱菌由来プロテアーゼ(Tk-subtilisinとTk-SP)を見出しており、これら酵素の実用化研究を進めている。

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(研究1)超好熱古細菌(始原菌)のタンパク質の構造機能相関解析と応用研究

プロテアーゼ活性の温度依存性の比較

(研究2)人工ミニ抗体(binding scaffold)の作成とタンパク質相互作用の研究

 IgGを利用した抗体医薬が注目されているが、より小さなタンパク質によって構成される、人工ミニ抗体(binding scaffold)タンパク質が次世代の抗体として期待されている。耐熱性プロテアーゼであるIslandisinには、βサンドイッチ構造様ドメインが存在しており、その構造は抗体の抗原認識ドメイン(Fv)と高い構造類似性を示す。これまでに、このドメイン構造は高い熱安定性を有していること、大腸菌での生産が容易であることを確認しており、人工ミニ抗体(binding scaffold)としての開発を準備している。これらのドメインにランダムな変異を施し、特異的な抗原を認識するミニ抗体の開発を行う。本binding scaffoldは、結合特異性や結合親和性を自由にデザインするためのプラットフォームとなり、タンパク質相互作用研究の新展開に資することが期待されるほか、生体分子を特異的に検出するプローブや、医薬品開発への応用展開も期待できる。

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耐熱性プロテアーゼのβsandwich domain(赤)とIgG VH domain(緑)の分子構造比較

(研究3)地域生物資源に見られる酵素の研究

 新規酵素の探索、新しいタンパク質機能を探索する目的で、環境微生物や環境DNAを対象とした探索を行う。これまでに「万博記念公園内の樹木剪定で出た植物残材から製造されるコンポスト」、「箕面市止々呂美地区で栽培される実生ゆず」を材料とした、微生物の探索、有用酵素の探索を行っているが、これらの材料も有用遺伝子探索源として期待ができる。既に、難培養微生物の遺伝資源を探索する目的で、コンポストから抽出したメタゲノムを用いて、大腸菌で発現することができるFosmidライブラリーを準備している。これに加え、地域独自の生物資源(水、土壌、水産物、食品、温泉水など)の環境DNAを新たな酵素の探索源とすることも計画している。

 これらの生物資源に対し、酵素活性を指標としたスクリーニングに加え、Nanopore社の次世代シークエンサー(MinION)を活用したメタゲノムのダイレクト解析を計画している。同シークエンサーは、タンパク質チャネルを利用した独自原理による長鎖DNAの直接解析ができること、小型で環境中でのオンサイト解析ができるなどの特徴を有している。この特性は、多様な宿主由来のDNA断片からなるメタゲノム中のORFやその前後の遺伝子構造を効率的に解析することに貢献できると考えられ、これまでの酵素活性を指標としたスクリーニング法に比べ、迅速に新規酵素の遺伝子を同定することができる。

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