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石鹸と泡

研究内容

研究対象は界面活性剤とタンパク質で、界面活性剤の新しい機能や界面活性剤によるタンパク質の構造変化の特徴に着目して、主に、次のような研究をしています。

○タンパク質をプローブとした界面活性剤の溶液物性

ある物質の性質を調べようとする時、指示薬と呼ばれるプローブの変化を指標として使うことがあります。当研究室では、時に、タンパク質をプローブとして使い界面活性剤の性質を調べています。つまり、タンパク質の構造や機能に対する界面活性剤の特徴的な作用を調べて、界面活性剤の新たな性質・機能を探します。古くから界面活性剤溶液の特性が現れることで知られる表面張力や電気伝導度などの測定で、界面活性剤とタンパク質の相互作用がはっきりと検出されたりもします。

 

○界面活性剤の、天然状態および非天然状態のタンパク質との相互作用

界面活性剤といわゆる天然状態のタンパク質の2成分の系で、界面活性剤がタンパク質にどのくらい結合し、界面活性剤がタンパク質の構造をどのように変化させるかなどを調べます。

また、熱、pH、変性剤などで変性したタンパク質、いわゆる非天然状態のタンパク質の構造に対する界面活性剤の影響を調べます。

 

天然状態のタンパク質の結果から、通常の変性剤に比べて、1000分の1くらいの低濃度で界面活性剤がタンパク質の構造を変化させることが明らかになっています。

非天然状態のタンパク質の結果から、少量の界面活性剤が熱や変性剤からタンパク質の構造を保護することを見つけています。

 

○タンパク質に結合した界面活性剤の除去

タンパク質の分離・精製や分析等に界面活性剤は上手く活用されています。しかし、これらの処理後、界面活性剤はタンパク質に結合し、タンパク質の構造も変えたままになっています。そこで、タンパク質に結合している界面活性剤をタンパク質から除去し、タンパク質の構造を回復できれば、界面活性剤のこの種の活用はさらに有効になります。

現在、タンパク質との相互作用が弱い胆汁酸塩、コール酸塩を使って、界面活性剤を除去するという目的をある程度達成しています。

 

―界面活性剤/タンパク質とは―

『界面活性剤』は、1つの分子中に親水基〔水になじみやすい部分〕と疎水基〔油になじみやすい部分〕の両方をもち、液体、例えば、水に溶けて界面〔水と空気が接する面=液体の表面〕に吸着したり、分子どうしが集まってミセルとよばれる集合体を形成したりするユニークな化合物です。界面活性剤は、物を洗うためだけでなく、水に溶けない物を水に溶かす、水と油を均一に混ぜる、水中に固体微粒子を均一に散らばらせるためなどに不可欠な物質で、食品・医薬品・化粧品など、さまざまな産業分野で使われています。

一方、『タンパク質』は、たった20種類のアミノ酸がDNAの暗号に基づいて鎖状につながったもので、アミノ酸がどういう順番に何個つながるかによって、何万という多様性を可能にしています。このアミノ酸の鎖が折りたたまり、独自の立体構造を形成して初めて、タンパク質はタンパク質として機能します。タンパク質は皮膚、筋肉、骨などの生命体の大部分を構成する一方で、血液などの体液中で物質輸送に関わったり、またある種のタンパク質は酵素として働いたりもしています。

 

―界面活性剤とタンパク質の組合せは―

『界面活性剤とタンパク質』は無関係なように思われますが、実は、そうでもありません。例えば、細胞膜は主に界面活性剤(リン脂質)と膜タンパク質から構成されています。また、界面活性剤は生化学分野でもしばしば用いられ、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)という陰イオン性界面活性剤はタンパク質の分子量決定法(SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)で使われたりしています。

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水質検査キット
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